PCゲーム レビュー

[Gameplay]WASTED part1

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タイトル: WASTED
開発元: Mr. Podunkian
パブリッシャー: Adult Swim Games
リリース日: 2016年6月7日

ローグライク+FPS

昨今ローグライク系と言えるような FPS が増えてきている。ランダム生成されるマップにランダムにポップする敵をセットして、特定のフロアではボスが登場するという感じのつくりが多い感じだ。ただ、その混ぜ加減というかバランスには各社各ゲームによりかなり特色がある。以前紹介したもので言うと、One More Dungeon の項目などが近いゲームのような感じがする。今回の記事ではとりあえずこのゲームの特徴や概要についての軽いレビューをするところで終了し、今後ステージの攻略 TIPS などの作成に取り掛かりたいと思う。

ステータスに関わるのは主に装備品

まず前提として、通常の戦闘によるレベルアップが無いので、「プレイヤーの能力が上がっていかない」。つまり、稼ぎなどを行ってステータスを上げることによるごり押しができない。その代わりに武器を扱うのに必要な能力値なども存在していないので、拾ったものをフルに活用することができる。というような匙加減のタイプのゲームである。

いいものが出る深い階層では非常に迷う

そこで登場するのが上記の瓶に入った酒である。この酒を飲むと、名称に応じた Hangover を一つだけ獲得し、自宅へと強制送還されることになる。つまり、飲めば飲むほど様々な特殊能力を持って、次の周回をスタートさせることができるのだ。逆にマイナスの物もあるので、縛りプレイという形でも楽しめる。深く進めば進むほどいいものが出るので、そこでまた1階に戻ってしまうか、能力アップをして次の周回に余裕を持たせるか…は悩みどころ。

勇気が要る瞬間。なおこの時点ですでに「体力-50」を引いている

先ほどの瓶による効果は、幅は小さいが、ダンジョンを抜けても死ぬまで基本的に効力を発揮し続ける能力だった。今度は逆に上の Flask がダンジョン内限定で、割と極端な能力を手に入れることができるアイテムである。これを呑むと、ランダムで MAX レベルの酒瓶のような効果を得ることができる…らしい。具体的によく発生する能力変化を挙げると、上記の各種能力値が±5されたり、照準が消えてしまったり、ライフが±50されるなどの、圧倒的なものから致命的なものと様々。逆に言うとハズレを引いてしまっても上の酒瓶で戻れば解消できるというのも覚えておきたい。

アイテムリソース管理が重要

わずか10枠+限界所持数も少ない

このゲームにおけるもっとも重要な点は、弾薬や武器などで何を持ち歩くか、何を捨てたほうがいいかという取捨選択部分であろう。とにかくインベントリが少ないので、何かしら開き直らないとかなり厳しい。近接武器ならともかく、銃器を使うなら武器+弾(100発まで)の2枠が必須となり、複数種の武器を持つとそれだけで終了するほど。また、防具も上半身・下半身・頭部の3種があるので、初期状態の10枠では「防具上下と武器2種類と弾2種類、あと回復アイテム」で埋まる。回復アイテムも道中で手に入るようなものは数が限られており、効果も低いものは持ち歩きづらいため、プレイスタイル以前の悩みどころとなる。

アイテムによる拡張は可能だが限界も早い

もちろん対策が無いわけではなく、アイテムの「Fanny Pack」「Bum Bag」「Side Slung Fanny Pack」の3つはそれぞれインベントリを3枠拡張できる。ただ3つつけて3枠消費した上で+9枠なので、額面通りではなくかなりシビアな枠であることに変わりはない。近接武器なら弾は消費しないが、敵は銃器を使ってくる人間がメインなので、その分リスクを負うし、回復アイテムの需要も高まるので一長一短。スニーキング攻撃も毎回できるわけではないので、このあたりのリソース管理と行動選択は並のローグライクよりシビアであると感じられる。

ダンジョン外にアイテムを持ち帰る・持ち込むことはできる

このクーリエボックスは自宅前、ダンジョンの3F・6F・10Fに必ず存在するほか、ランダムでポップし、ここに出し入れすることでダンジョン内外へ持ち運ぶことができる。例えば武器が2丁あって片方が不要な時、アイテム枠拡張アイテムが複数あるとき、使っていない武器の弾薬が多くあるときなどは箱の中に入れておき、そのダンジョンでの後半で役立てたり、次回死んだときに役立てることができる。逆に自宅から弾や回復アイテムを放り込んでおき、深層で取り出して攻略に役立てるなど使い道は様々。

システム面は拘りあり

SHOOTが10(MAX)あるとクリアは簡単なレベル

ステータスは大きく分けて5項目だが、それぞれが持つ意味はそれなりに大きい。普通の FPS と同じようにコソコソと移動せず、来る敵を銃撃するスタイルであれば、射撃能力に関わる SHOOT と、Armor に影響を与える HIT を重視していきたい。近接攻撃メインなら HIT が打撃の威力に影響するし、SNEAK でモノを投げたときのダメージを底上げ・足音を消す能力を高めるなど、プレイスタイルにより様々。射撃能力だけ高ければクリアは簡単だーと思いたくなるところだが、Armor が低いと敵の連射系武器で致命傷を受けがちだし、ノックバックが大きくなったりするとそれだけで不利なので、できれば0やマイナスまで行くような状況は避けるのがベター。

武器ごとの特性はきちんを把握しておくこと

基本的な傾向としては、以下のような分類となる

ピストル使い勝手はいいが特殊な効果はほぼない
SMGピストル弾を湯水のごとく使い、集弾性に劣るが DPS が高い
リボルバーアーマー貫通力に優れる
セミオートライフルアーマー貫通力に優れるが連射力がない
アサルトライフル威力や貫通力は高いが、中層以降に登場
ショットガン貫通力・精度は低いが、鍵開けなどにも使える
エネルギー武器壁で反射する。貫通力も高い
爆発武器しにたい時に
投擲無いものと思え

基本的に持ち運ぶのはピストル弾・ショットガン用バックショット・ライフル弾の3種以内で、それに応じた武器を持つことになる。リボルバーは優秀なのだが武器も弾もレアなので滅多なことでは使うことはできない。エネルギーパックもまとまった数が手に入りづらいのと、射撃に関する能力ではない Tinker が補正に必要なためメインにはなり得ない。とにかく弾があるなしで戦い方が変わってくるので、そのあたりは非常に重要

照準の感覚がイマイチ掴めず、アイアンサイトは使いにくい印象

個人的なお勧め武器チョイスとしては、ピストルは Vault Clearer か Clap-17 (3点バースト) が扱いやすく、弱点も狙いやすい。SMG 系は精度があまり良くないので、メインに使うには少し厳しい。ライフル系では Emma Grand が扱いやすさ・威力・貫通力で優れるため、全武器中ベストじゃないかと思えるバランスの良さを持つ。腰だめでも精度が良く、アーマーをかなり無視できるし、連射で無駄弾を食うことも無いので、持ち込みで1階から使っていける。欠点は残弾0でないとリロードができないという点くらいか。まあガーランドだから仕方ないよね。ともかく、連射がきく武器は精度を気にせず使えるくらい弾数に余裕がある場合か、敵から奪ったものを撃ち切るのがメイン運用になるだろう。とにかく重要な武器としては Emma Grand であるということを断言する。ショットガンは鍵の代わりと、敵に運よく近づけたときにぶっ放すくらいにした方がリスクが少ない程度の悲しい扱いでも構わない。

中盤くらいからやたら増えるアーマー持ちの敵

先頭システムについては普通のFPSと同じようにヘッドショットで大ダメージ+部位別にアーマーやダメージの概念も持つ。ライフ全体は共用だが、例えばボディに集中攻撃するとボディ部分を破壊することができ、その部位を撃つとダメージが大きくなる。アーマー破壊を狙うのはアーマー貫通の効果がある武器を持っていないときなどに効果的で、破壊すると上の敵ライフ表示のアーマー部分に斜線が入る。ヘッドショットのダメージを軽減するヘルメットなどもあるので、必ずしも頭を狙うのが得策ではない場面もあるのだが、基本的にはヘッドを狙っていかないと弾が足りない。

人間は頭がデカい(大きな主語)

割とちょこまかと敵が動くので、ヘッドショットというよりとにかく当てることが大事になるのだが、環境を利用したり、罠にかけたり、敵同士の同士討ちを狙ったりするのも戦略のひとつ。あらゆる罠や仕掛けは敵も同じようにトリガーを持つうえ、違う勢力やミュータントなどではこちらが近くにいない場合それぞれを攻撃しあうので、画面上部に「○○はクリティカル攻撃を仕掛けた」というログがドドドっと出たり、爆発音がこだました後静かになるといったことが頻繁に起こる。

素潜りでもクリアできる匙加減

4~6Fのこの部屋ではインベントリ拡張アイテムが出やすい

ただしそのあたりはやろうと思えば、であり、ゲームシステムの中核にある Hangover 要素を無視してしまうのは味気ない。死ぬまで残るとはいえ死なずにたくさんつけるくらいなら、さっさとクリアできるというのは問題点とも言えるが、たまたま SHOOT+5 のランダム効果を手に入れたとか、そういう場合には下積み無しでクリアまで到達できるのは強みとも言える。アイテム持ち込みで楽になるのは確かだが、持ち込んだからと言って即クリアともならないので、全体としてうまく作ってあるなと感心させられる。

難易度を上げる主犯格1

ただ、全体の中での2番目のダンジョン、Cooler CA-2 が異様に難しい。個人的にここだけは持ち込み無しではかなり厳しいと感じた。とにかく敵がアーマーを無視してくる武器を多用すること、敵がアーマーを所持している率が高いこと、回復アイテムの出現率が1番目のダンジョンに比べて低いことなどが主な理由。その武器を奪って使おうと思っても、ロボットは予備弾薬を持っていなかったりするので、長く使うことができず、撃ち切って終わりとなると持ち替えに時間を要するので、頻繁に取り換えると時間や手間というよりリスクが高まるのである。逆に言うとここをクリアできてしまえば、あとは死なずに最後まで行けるくらいのプレイが可能になるのだが。

バランスを無視してくるこのファックロボ

何度もやってるうちに素潜りでもクリアできるだろうという理由のひとつに、マップパーツが少ないこと、そのパーツごとに特徴が決まっていること、4~6F・8~10F が各ダンジョンで同じ特徴を持っていることが挙げられる。そのため、さっきクリアしたダンジョンにまた挑んでいる感覚や、この仕掛けが出てきたからこういうものが手に入るなというのがなんとなく想像できてしまう。この辺は比喩表現でも何でもなく「ほとんど同じ」なので、そこはマイナスポイント。

総評

敵の同士討ちを誘発することも容易

というところから、ゲーム自体はかなりやりごたえを感じさせるような出来栄えとなっている。正直このお値段(1280円のところから90%オフ)ではかなりのボリュームがあり、プレイングの幅から、マルチエンディングなども含めて色々と遊び方の幅が広いゲームだと思う。先述の問題点であるマップのパーツの少なさと、見たことあるロケーションという連続による作業感はあるので、必ずしも手放しの評価にはならないが、ローグライクという要素が上手くハマっているかはともかく、結果として程よい難易度を産み出しているのは間違いない。

値段も安く、ボリュームも十分にあり、MOD もサポートしているらしい (未使用なので不明) ので、長く遊べるのは間違いない。ラジオから聞こえてくる音楽もいいものが揃っているし、一番難しくて聞き飽きるくらいプレイする2番目のダンジョンの曲が良いのも助かった。グラフィックの独特な雰囲気が許容できるかがある意味一番の障壁になるだろう。また字幕も出せるが文章量が異様に多く、ほぼ全てのセリフがボイス入りという小規模制作にあるまじきやる気は見逃せない。ごめんなさいほとんど読まずにプレイしました。

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