タイトル: Bunker Punks
開発元: Ninja Robot Dinosaur
パブリッシャー: Ninja Robot Dinosaur
リリース日: 2018年5月28日
(分類上)拠点強化型ローグライトFPS
とても古臭い感じ…オールドスクールな感じの FPS がメイン。ここでは各エリア1分ほどの短いステージを戦い抜く。プレイヤーの行動は前後左右移動とジャンプ、それに射撃とキャラ特有のスキル (左下のゲージ回) のみという男らしさ。マップ表示やタスク表示などという軟弱なものは無い。目視できる攻撃を避けて撃って戦場を駆け抜ける。極論を言えば倒すと次のフロアに行けるエレベーターの鍵になるボス格以外倒さずに進むことまで可能。
FPS パートで溜めたクレジット (Creds) で、拠点のパワーアップが可能になる。はじめのうちはできることが少ないが、後述の周回要素によってこの増設できる内容が増えていく。ここではプレイヤーの各種攻撃力のアップやライフ・シールドの強化など、戦闘能力に直結する要素の強化ができる。FPS 部分がストレートすぎるのもあって、アンロック要素を解除してパワーアップした分先に進めるようになる感じだ。
キャラクターごとに異なった特性が (一応) あり、初期装備も異なるため、最初のバンカーに到達するまでの道中で難易度差がそこそこある。キャラとして無難な能力は、ダメージ1回分のバリアを張れる左から2番目のオッサンと、発動すると装備武器の弾薬が全回復する右から2番目の Kassidee。タイトル画面ではババァ無理すんな系のキツイ感じ (18歳) だが、喋ってると可愛い感じなのでお得。参戦した理由が Her daughter を abduct されたせいらしいが、娘…?
各要素がうまく絡み合ってない
素材としては決して悪くない発想なのだが、どうにも足りないコンテンツの水増しのために色々と画策しただけのようなプレイフィールになってしまう。これって本当に製品版なの?というかアーリーアクセス抜けたの?という疑問が湧いてしまうほどに出来ることが少ないし、バランスの匙加減も何とも言えない。
戦闘バランスでいうと、ノーマル以上の難易度だと何も強化していない場合即溶けそうなダメージを食らう。逆にイージーだと何も考えなくてもほぼ死なないレベルのだらだらとした展開になる。難易度によって敵の出現パターンや敵の種類、敵の行動が変わるなんてことは全くないので、敵の強さつまり不便さが変わるだけ。そういうわけで、高難易度でやりたい人は修行僧のような存在だと思う。
ただ、戦闘能力を高めるのは簡単で、初期状態からほぼ MAX まで低コストでできる。ピストルがそこそこの連射速度で125%強化状態になれば1発最大20ダメージくらい与えられるので、弾薬戦闘範囲 DPS といろいろな面でバランスの取れた最強銃になる。他の武器は癖があったり精度が悪かったり自爆ダメージがあったりで、終盤でもしっかりと選択肢に入ってしまうほど。武器部分は水増しすらしていないのかもしれない。
出現する敵の嫌味な感じもなかなかに尖っていて、開幕の拠点到達前の2フロア分ですら、「接近して自爆して大ダメージするやつ」「左右に飛んで遠距離攻撃を仕掛けるドローン」。的が小さいので対処しづらい敵が初っ端から出てくる。幸い、耐久力は低いがピストルやショットガンだと部屋の真ん中くらいになると与えるダメージが目に見えて下がっていく。というわけで特定の武器が手に入るまでは大体戦闘距離が短い感じになる。ただそれだと攻撃がかわしづらいというデメリットもある。連射タイプのアサルトライフルは遠距離の方がダメージが大きいが、遠くにいると当たらない小ささと精度なので使えない。ハンティングライフルはバッチリ当たるが、倒したら5秒以内くらいにアイテムを取得しないと消えてしまうほど即消えるため、あまり遠距離で倒したり、壁に隠れて撃ってというスタイルをとることができない。こういう点も含めて戦闘は初期装備のピストルが最適解なんじゃないかなと思う。
接近されると辛いバランス+適正距離が極端+アイテムの出現時間が極端に短いという点が重なって、距離を置いて戦った結果弾が拾えず、敵のリスポーンもないので弾が切れるという事態になることがたまに起こる。気を付けていれば起こらないとはいえ、リカバリー手段がないというのは如何ともしがたい。特にキャラが死んだらそのキャラはもう使えないうえに、最大で3キャラ分でクリアしろというゲームで、体力が尽きていないのにキャラを諦めるのはコンセプトがめちゃくちゃである。
ちなみにだが、今使わない武器や防具をインベントリ (左上) に入れて持ち歩くこともできるが、インベントリ内のアイテムの操作は入れ替える候補のアイテムが落ちていないとできない。つまり、そのフロアで何一つ装備が出なかった場合、武器を4丁持ち歩いていても何一つ活用できないことを付け加えておく。ボス格の敵は確実に装備を落とすが、それを倒す前に弾切れをしてる場合の話なので。
個人的に許せないのがこの系統の敵とシチュエーション。まずタレットに関しては小大爆発の3種類が存在するのだが、小に関しては耐久性も低くライフル1発かピストル2・3発で終わる程度。大きい方が問題で部屋の入口や曲がり角に近いところにいると、敵に体を曝してちょっとずつ削る、一気に部屋の中に入って複数の敵に囲まれながら一度に相手をする、部屋自体を諦めるのどれかを強いられる。見返りのドロップはその辺の敵と全く同じなので基本的に邪魔なだけである。
犬は本当にゲーム性を崩壊させてくるので嫌い。ノーマル難易度でアーマーが低い場合、一撃で20くらい削られてしまう。そのため常に引き撃ちを強いられる。体力も異様に高く、イージーですら150はあるので、ピストルを最大強化して大体7・8発。長い通路を後ろに引きながらでようやくだが、できなかったり角に引っかかるとまず1発貰う。回復がしづらいゲームでこれは辛い。仮にライフル系を主軸にしている場合、突っ込んでくるので適正距離が取れない。爆発系なら自爆覚悟になる。こちらが大きく下がった場合、ずっと追いかけてきてくれるとまだ助かるのだが、曲がり角があると大抵引っかかって出てこなくなるので、こちらを視認させてやらないといけなくなる。そして視認させるとその場からダッシュをかけてくるので、下がるタイミングが遅いと攻撃を食らってしまう。つまるところ駆け引きが全て敵有利の状況なので、出るだけ損をするし面白くないというのが問題。
匙加減次第で良くなったかも
とにもかくにも「やることが変わり映えしなさすぎる」1点に尽きる。先に進むと多少敵のバリエーションが増えるし、落ちているアイテムも多少いいものになっていくのだが、性能的に変化がないので序盤にショップで同じものを購入できるチャンスがあった場合、武器に関してはインベントリに詰めて換金するだけのアイテムに変わる。防具もピストル強化・ライフル強化のシリーズ防具があれば正直他は必要ない。おまけで何か特殊効果があるとかそんなことは一切ないし、痛むこともないので取り換える必要がない。
ステージも左から何番目だったらどの敵が配置される程度の差しかなく、分岐点も最短で進めるルート以外を選ぶ必要がない。やり直しの場合でもバンカー内の敵配置は全て同じなので、特定のバンカーで苦手な配置で死んだとか、稼ぎが必要な場合に違うルートを選ぶことが稀にある程度。
戦闘面でも近距離でピストルを撃つか、ハンティングライフルで遠距離からの攻撃になってしまって、戦闘のバリエーションもかなり少ない。そもそも武器が2種類しか持てないし、適正距離でダメージが乱高下するとあっては、じゃあチキンプレイするねというのは作った時点でわかりそうなものだが。といっても、そういうことをしなくても終盤のエレベーターのアンロックに必要なボスの攻撃は、見てから余裕の2連エネルギー弾か爆発雑魚を呼び出すかのどちらかしかでない。そういう意味で終盤に行けば行くほど刺激が無くなる。道中の犬野郎の率が上がる分難易度が上がるが、ゲーム的にはどんどん不便になるだけ。
何周もさせるような実績は用意されているが、1周目であろうが3週目であろうが、もっと言えば途中で死んだ次のデータであろうが、やるべきこととやれることが全く変化しない。アイテムの出すら変化しないとあっては2週目以降にやる目的が全くないレベル。実績を集めるために自分はプレイをしたが、全く変わらないプレイ感に嫌気がさして、5週クリア分でやめた。十分すぎるくらいやってるじゃんと思われそうだが、これの実績解除率が0.5%、アンロック要素全てが3.6%なので、この要素を楽しむためにプレイするという人すら少数派ということがわかる数字が出てしまっている。確かにやれることが増えたり、こちらがどんどん強くできるようになると、先のバンカーまでプレイしてクリアしてみようという気持ちにはなるのだが、どうせだったらクリアするまで、という消極的な姿勢になるプレイヤーが多いと思う。
ゲームプレイ部分に変化をつけにくいのなら、ステージ中の構成要素が見た目以外にもセキュリティエリアならそういう敵が増えたりとか、警報装置が鳴ると援軍が来るとか。研究棟なら回復アイテムが多かったりミュータントが多く出てきたりとか。せっかくのルート分岐や各バンカーのフロア構成を見せているわけなので、このジャンルは苦手だからあっちに行こうとか、この敵はクレジットを落としやすいからそっちに行こうとかの駆け引きが生まれるはず。
武器防具にランダム性を持たせれば、殺風景な物を売り買いと回復するだけのストア画面にエンチャントやグレードアップなどの要素も入れられる。何らかの形でこの周回では前の時と違ってクリアしやすい条件が揃いましたよ、という引き継ぎ形式が無いと本当に全プレイで同じことをするだけになってしまう。何せピストルは最初から持っているし、ハンティングライフルが即手に入ればその時点で最終装備みたいなものだからだ。
結局のところ、通常状態だとさっさとクリアして終わってしまうゲームだということに気づき、いかにクリアさせないかという条件を付けたらこうなったという感じ。プレイヤーに不利な要素をたくさん持たせて、アンロックとは名ばかりに拘束具をちょっとずつ外していくために作業を要求して時間を稼いだようなもの。ゲーム内容が決して悪くないというか、よくあるものなので目新しくもない代わりに、出来自体がまとまっている分惜しいようなそうでもないような。
決してお勧めできないゲームではないが、単調作業になってしまうことと、一度突破できるようになるとそれ以降は、自分でプレイを縛るか難易度を上げるか以外にやることがなくなるということを頭に入れた上で触ってほしい。論調はブチ切れ寄りにはなってしまったが、決してクソゲーだとか出来の悪いゲームとか言うつもりもない、それだけに惜しいゲームだと思う。