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[Review]Weapon Shop Fantasy

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タイトル: Weapon Shop Fantasy
開発元: Digdog Studio
パブリッシャー: INDIECN
リリース日: 2017年2月26日

 

 

素材を集めてアイテムを作って売る

言ってしまえばそういうシンプルなゲーム。自分で戦闘をしないクラフトソード物語のような作品。ドットや音楽の雰囲気からも GBA 作品のような香りが漂う。素材を集めに行き、集めた素材で装備品を作ってキャラを強化、クエストをこなしてレシピや探索場所を増やしていき、さらに行動範囲を広げる、というパターンを繰り返していく。単純な繰り返しだが、進めるテンポがかなり速いので、飽きることなく進められるのは評価点。日本語は完全対応。多少怪しいフォントや間違いなどもあるが、キャラ付け等はちゃんとしているので気にならない。「逃げるは恥だが役に立つ」等の時事ネタまで盛り込む懐の広さがあるので、作者の情報網はかなり広いのではなかろうか。

そもそもプレイヤーがこの店を開くのは、どこぞのバンパイアキラーの仕業による。混沌の産物(自宅)を追い出された借金まみれの吸血鬼が、願いをかなえるとか言う約束の地を探してくれる吸血鬼に金を返すため。ほぼ元手無しでヤケクソな額を稼げるこの才能の塊を操作する。そしてこの武器屋の売り上げ(依頼)次第で戦争の結果が変わるほどの影響力を持つという、これまたガバガバな設定だが、戦争特需で借金を返すために犠牲になってもらおう。

システム

戦闘は自動。装備品とアビリティを整えて、探索場所と難易度を選択する。その場所によって得られるアイテムが変化するため、欲しいアイテムが手に入る場所を繰り返し探索することになる。敵に出会うと交互に攻撃を繰り返し、死ぬまで殴る。本当に死ぬまで殴るので、勝てない場合や傷ついた場合は撤退コマンドで、それまで手に入れたアイテムをすべて持ち帰ることもできる。死んだ場合は馬をグレードアップしていない場合、そこまでで手に入れたアイテムを全て無くしてしまう。そのため、道中からレアドロップが出たり、欲しかったアイテムが手に入った場合などは撤退するのも選択肢に入れる必要がある。基本的にはほったらかしにしていいし、1回ダメならもう一回行けばいいだけなのであまり気にしなくてもよい。

アイテム作成はもはや説明は不要だと思われるが、アイテムの性能は、基本値と製造時の対象ステータスの高さで決まる。同じ武器を作るのであればちからが高いキャラに作らせたほうが性能が上がる。ほかにも製造スキルなども効果に影響を及ぼす。

アイテムごとに装備して探索すると成長するステータスが設定されており、剣ならちから(攻撃力)、鈍器なら根性(防御)という感じでカテゴリごとにほぼ固定されている。探索するうえで必要な数値はHPとちから、そして命中率に影響する素早さが特に重要か。賢さは魔法攻撃に、運はクリティカルヒットに関連するが、隠しボスを倒そうとする場合以外あまり重要ではない。とにかく周回して素材を稼ぎ、素材からアイテムを作って売る繰り返しなので、とにかく周回しやすい装備品をいち早く整え、少しでも早く稼ぐことがクリアには重要となる。

アイテム作成は手動か、ボススキルを購入することで可能となる自動製造の2種。手動の場合も作成予約を出すことができる。武器等はあるだけ製造はインゴット等を用いる他の製造を圧迫することになるので、予約製造で複数、加工素材などは自動であるだけ作らせるという使い分けができる。

アイテム作成のレシピは依頼で手に入れる。メイン依頼がストーリーに関わるもの、サブ依頼が時限依頼2種が含まれるシナリオには特に関係のないもの。従業員依頼はクリアすると装備できるスキル枠が増える。3回分あるので枠が2→5、その際にレシピも貰えることが多いため、依頼はできるものから確実にこなしたい。ただし、新しい従業員を獲得できる依頼の中に、クリアする依頼によって従業員が異なるものがいくつか混じっているので、2週目以降では特に注意したい。この枠開放の兼ね合いから、どうしても依頼がこなしやすいキャラでメインに探索するようになり、多少問題あり(後述)。

よくあるダレる点なども健在

おそらく大抵のプレイヤーが大量生産するであろうスパドーネ

大体のこういうクラフトもので詰まるのは「レシピや資金が無くてやることが変わらないor進めない」という点であり、例にもれずこういう点は無いとは言えない。特に、新しいインゴットのレシピが手に入らないと新しい武具が作れないため、劇的に戦闘能力が向上することがない。そしてお金が無いとストーリー依頼がこなせない(借金返済のため)ので、稼ぎやすいアイテムをただひたすらに作っては売るという流れ作業になって停滞する。このあたりを許容できるかどうかが、この手の経営ゲームの向き不向きを判断するポイントでもある。壁を越えてしまえば今度は稼ぎ放題なので、それはそれで緊張感が無くただひたすらに依頼をこなして進めるだけになる。公式の謳い文句が

メインストーリーは約10時間でクリアでる!隠れボスを倒したければ約20時間!
完璧主義者や育成マニアにはその10倍の200時間が必要だ!

なので停滞時期は少なくて済むのだが、実績を埋めるために3周もすると効率化されすぎて「こればっか作ってんな」という見飽きたアイテムを作りまくる羽目になる。

隠れボスを討伐しようと思うとこれがまた大変で、まず敵の行動パターンを知り、攻撃を防いだり生き残るためにはどういうスキルが必要で~という計算が必要になる。そして必要なスキルを取得し、製造のためにキャラを育成して、出来上がる武具の性能を高める。そして製造スキルによってさらに性能がアップするため、製造だけでもステータスは上がるのだが、スキル獲得のために4枠しかない戦闘枠を使って敵を倒して経験値をためなくてはならない。そして素材を集め、良い性能の武具ができるまで製造を行う。それでようやくスタート地点に立てるという感じだ。スキル獲得が戦闘でしか得られないのだけが難点で、戦闘に出しているキャラはめんどくさいのでほぼ固定になりがちであり、1枠だけスキル開放のクエスト要員のように使うと、製造スキルのために戦闘に出す暇がない。そのせいで製造におけるスキルの意味合いがいまいちピンと来ないままシナリオ部分が終わってしまった。製造アイテムの能力補正や、製造時の経験値を周辺のキャラに振り分けるといった便利なものもあるので、製造スキルくらいは製造だけでも取得できるようにしてほしかったように思う。戦ってるうちに製造の極意を知るのはどうも違和感がある。

このあたりはあくまでやり込み要素なので、たかだか698円のゲームでここまでやり込めるというのはある意味ではお得とも言える。本編自体のバランスは良好で、手詰まり感もさほどなくすんなり進めるし、なによりキャラの細かい動きや発言が軽いノリで楽しい。宝箱までが軽口を叩くという徹底ぶり。一人で作ったゲームということだが、ここまでちゃんと作り込まれているのは称賛に値するだろう。

全体としてはゆっくり遊んでも長く遊べるし、クリアだけを目指して効率的にプレイしてもたっぷり遊べるよくできたクラフト・経営ゲームである。値段を考えると遊べる時間が長いのでコスパは非常に良好。実績も無理なものはほとんどないので、100個超の実績を解除したい人にもお勧め。

 

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