PCゲーム レビュー

[Review]Manhunter (Sniper: The Manhunter)

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タイトル: Manhunter
開発元: Silden
パブリッシャー: KISS ltd
リリース日: 2013年1月29日

概要

ストーリーラインはあって無いようなものだが、簡単にまとめると、元 SAS の John (タイトルメニューのオッサン) が退役後に、スーパーハッカー()の Max と手を組んでイリーガルな「お仕事」を引き受けるというもの。ミッションは大きく分けて5つあり、「核施設の破壊」「貿易センターでの狙撃」「港での狙撃・脱出」「ロケット発射阻止」「要人の救出」。それぞれで狙撃から近距離戦、ビークルステージや味方の支援など、様々なシチュエーションでのプレイを提供している。

武器はピストルと狙撃銃を必ず所持しており、それを使って遠距離から仕留めるもよし、敵が落とすAK47かMP7を使っても良し、スナイパーたるもの近距離戦もしっかり行えないと戦えないのだ。取り回しの良さではAK47やMP7が勝るが、戦闘自体が割とシビアなので、狙撃銃を使っていくのがメインのスタイルとなるだろう。

世間一般で言う「クソゲー」分類

結論から言うとそういうことになってしまう。いろいろな問題点があってこれだからという点は挙げにくいのだが、簡潔にまとめると

  • AIがバカ
  • 銃撃の精度が悪い
  • 敵の登場がガチガチのスクリプト
  • 敵の銃撃の精度だけは高い
  • クイックセーブなどは無し
  • ミッションのクリア条件が分かりにくい

ゲームプレイに関する点だけでもざっとこれだけは挙げられる。プレイしていて面白いと言えるような点は数少ないので、楽しめるゲームとしては失格と言っていい。ただ、全くもって褒めるところがないかと言われるとそうではない。順番にゲームプレイを追いながらゲーム内容を解説していこう。

ミッション1

マップの途中で知り合いの Davies さんと再会、そのおじさんと連携しながら核施設の停止を目指す。道中ではおじさんが先行し、自分が遠距離から狙撃してアシストをする場面に加え、同時に狙撃をするシーンなどもあり、味方との連携というシチュエーションを重視している。

ただしAIがバカという欠点は既に指摘しているが、敵だけでなく味方も同じようにバカなのである。所定の位置に到達するまでは他の敵を無視するので、あからさまに銃撃されまくりながらでも突っ込んで行く。敵に撃たれても恐らく死ぬことは無い設定になっているのであろうが、問題なのは「こちらの銃撃でこの味方が死ぬとゲームオーバー」「味方の銃撃でもダメージを受ける」という点。なので、味方の動きにかなり気を遣わないといけないシステムになってしまっている。敵⇔自分⇔味方という状況になると前後から撃たれるのだが、ここで味方を先行させると誤射の恐れが出てくるということ。

この味方と同行するミッションでは、連射系の AK47 や MP7 などを使っているとこういう事故が多発しかねないので、狙撃銃で後ろの方から単発で狙った方がマシということになり、爽快感を削いでしまいがち。まあそもそもこれらの銃は目の前にいる敵にもほとんど当たらないので、元々爽快感など全くないのだが。

ミッション2

ここでの狙撃ミッションは割と本格的に見えるところ。向かいのビルからヘリから降りたやつを狙撃するというもので、狙撃には風と銃弾の落下、着弾までの時間が計算に入れられる。サイトの中央から少し下に薄い赤色で出ている○がおおよその着弾点ということで、自分で計算する必要は全くないのだが、これがなかなかに難しい。ミスするとチェックポイントから再開で、またそのヘリが到着するまで長い時間待たされることになるので、そのあたりはクイックセーブができないことによるストレス。

室内戦がまあ楽しくないの。というのもいかにもなタイミングで音楽とともにスクリプトで湧いて出て、射線が通らない場合通る位置までスタスタと走っていくので、そこで構えて当たらないAKを連射し、倒せなかったらリロードしてまた連射というスタイルになってしまいがち。開けた場所ならまだ遠くから撃たれたりということもあるが、室内の場合だとドアの向こうに行ってしまえば、敵は必ずそこを通るということにもなっているため。

それが終わるとスナイパー戦・攻撃ヘリ戦へとつながる。ここではパイロットを撃ち抜くというこれもまたいかにもなシチュエーション。特に燃えることも無いが、狙撃の教科書的な展開でこれはこれであり。終わると違うビルへと飛び移り、外への脱出を目指す。

本当にバカなので、とにかく所定の位置に着こうとするのである。こちらから背を向けるなどというのは茶飯事。まあこのかなり厳しめのゲームバランスで回り込みやちゃんとした動作をしているとするならば、恐ろしいことになっていたはずなので、ある意味救済処置…と考えることもできる。ただし爽快感はない(2度目)

ミッション3

このあたりからシビアさが極まり始める。開けた港にやたらめったら敵がいるので、安易に前に出ることができない。しかもたまにスナイパーまでいてかなりライフを削られる。自動回復を待ちながらちょっとずつ進むことになるだろう。また爆発するドラム缶などが大量にあるので、うっかり巻き込まれたりするのは即死に繋がる。利用することもできるが、普通に倒したほうが早いこともしばしばだ。

高台に上っての狙撃ミッションがまたも登場。今度もなかなかタイミングがシビアだが、前のミッションをクリアしているのならさほど苦労はしないだろう。なぜか所定の位置にいるのに「所定の位置にいろや」と怒られているが、このゲームにおいてはよくあること。タイマーが0になったらゲームオーバーだがよくあること。なお、ここで敵と約300m離れているが、こちらは狙撃するのがやっとなのに、相手はAK47でバシバシ当ててくる。どういうことだよ。

ボートに乗って脱出…すると思ったらぐるっと一周しているだけのように感じるが、とにかく脱出。このミッションがフォーラムなどでは激ムズと言われているエリアらしい。ノーマルならどのエリアでも激ムズだと思うが、確かにここは難しい。もっと早く逃げればいいのにノロノロ運転しているし、観光周遊ルートのように名所を回るし、何よりボートの前のガラスで敵が見えない(重要)。そのため、ある程度攻撃にさらされるというのを覚悟しなければいけない。それでいて自動回復タイプなので、蓄積していく。カバーなども当然ないため、処理が遅れれば遅れるほど死ぬ可能性が高まり続ける。途中で死んだらまた最初からやり直しになるため、高難易度で始めた人は後悔するであろう場面だ。

ミッション4

はっきり言ってあまり見どころはない。発射を阻止するために指令担当を倒し、遠距離に見えるトラックを狙撃、コンソールで停止させるという一連の流れしかない。

あのマークのやつを狙撃してね!と指示されてもまずあのマークが何についているのかが見えない。ちょっと待つと他のマークが現れて「あああれはトラックだったんだな」と言うことが分かるのだが、わかった時点で狙撃を始めても1発外したらほぼ間に合わず終了なので、「あの辺に見える何か」を撃たなければならない。あまり面白みのあるミッションではないだろう。ステージ構成も割と狭い一本道が続くので、目の前に来た敵を撃つだけということになりがちだ。

ミッション5

いざアフガン。本当に大丈夫か?

序盤は開けたマップなので、飛び出すとすぐにハチの巣にされてしまう。そのためここでもチキン戦法を取らざるを得ない。その場合、またこちらに背を向ける兵士などをたくさん見る羽目になる。前のステージまでは割と警備員のような敵が多かったのだが、ここからは防弾ベストを着ているのか、狙撃銃でボディを狙っても一撃で倒せないことが多くなる。頭を狙おうにも中央に飛んでいる気がしないので、どうしても確実にボディに2発という傾向になりがち。

この後洞窟に入っていき、洞窟内に囚われている要人を助け出し、要人を守りながら脱出を目指す。ここで最大の問題。「暗すぎる」。このゲームにはフラッシュライトなどの気の利いた装備は存在していないので、ガンマを上げて対策をした。この中で遠距離から全く見えない敵が高い精度でバシバシ撃ってくるので、こちらとしてはたまったものではない。スクリプトで湧いてくるので、「音楽が鳴っているときは敵がまだ存在している」「音楽が止まったら敵が全滅した証拠」というのをメリットに感じたのはここくらいなもの。

ちなみにこの要人、「捕らえられていたのに当たり前のように銃を持っている」ので、さっさと前に行くと撃たれる恐れまである。ここでミッション1の悪夢を思い出すとは思わなかった。

これらの苦行を超えると、感動のスタッフロール。スタッフは割と少なめだが、あからさまな進行不可バグなどは無かったので、それなりにしっかり作られていることは感じられる。スタッフロールが流れ終わって暗転してもずっとそのままでタイトルに戻ったりはしないところは男らしいと思います。

総評

確かに基本的にはクソゲーであり、欠点だらけであまり褒めるところがないゲームで、銃撃の爽快感や狙撃の達成感なども感じられないので、そういう意味で低評価なところは間違いない。ただし、雑に作られたクソかというと全くそうではない。「真剣に、ていねいに作った結果がコレ」というだけなのが伝わる。

ロケーションも多岐に富んではいるし、狙撃というシチュエーションで出来ることをたくさん盛り込んでいる。ビークル面や対テロリストなども定番だが取り込んで、クリアまでにせいぜい3・4時間とはいえしっかり作られている。しっかり作っているがコレというのは置いておくとして、自社開発エンジンで作られているところも割と高評価。最近の低価格シューターなどでは、制作キットのアセットをそのまま流用しただけだろこれと言いたくなるようなものが多く、真面目にゲーム作ってねえだろと怒りたい「ゲーム未満」なものが目立つからである。

そういう意味ではある種クソゲーのストロングスタイル、正攻法でのクソという誉め言葉にはなってないが褒めに近い言葉をあげたくなる作品だと感じられる。確かに分類上はクソで自分もクソクソ言っているが、目標は常に確認できるしインジケータも付いているし、多種多様なシチュエーションを盛り込んでいるので作ろうとしたものはクソではない。ただ出来上がりがクソ。

というところで、3時間ほどでわかる1周分のプレイ動画を貼って「俺はやり遂げたぞ」というアピールをして終わりにしようと思う。

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