PCゲーム レビュー

[Review]Dangerous Golf

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タイトル: Dangerous Golf
開発元: Three Fields Entertainment
パブリッシャー: Three Fields Entertainment
リリース日: 2016年6月3日

 

目の前にあるモノを壊し尽くして高得点を稼げ

ティーショット+パットの2打の間にマップ内に存在するものを破壊し、高得点を稼ぐのが目的。その2打の間にマップごとの指定された数以上モノを破壊するとSmashbreakerというモードに入ることができる。発動すると一定時間の間バウンドし続け、野郎と思えば階段を上ったり台所を縦横無尽に跳ねまわったりと、いわゆるやりたい放題のモードに突入する。

基本的な戦術は各マップに指定された高得点アイテムがあり、それを全て壊すことでSMASHDOWNボーナス(5万点)、2種類以上だと+10万点という割とヤケクソなボーナスが入る。このモード中にうまく前後左右に動かし、そのボーナスをもらうことを前提にして設計されていると思うのだが、何も考えずに置いてあるものを全部壊すぜー!というのもなかなか楽しかったりもする。

またステージにはシークレットソース(マスタード?)や各マップごとに決められたボーナス得点のオブジェクトが置かれている。高得点を狙うには繰り返しのプレイで「ここにティーショットを打って、ここで発動させてこういうルートで…」と作戦を練って挑む必要があるなど、戦略性も高い。1マップは2打で出来る範囲内のステージなので、スムーズにいけばクリアするのには数分もかからない。最初のロードは多少時間がかかるものの、リスタートではあまり時間がかからないので、繰り返しのプレイも苦にならないだろう。

ゴルフ要素が台無しにする

とにかく「ゴルフ」という体で作られているため、「ティーショット+パットで決める」ことが前提に設定されている。逆に言うと「決められないと大幅減点を食らう」ので、破壊を楽しむとかなんとかいう以前にパットを決めることを考えないといけない。Smashbreaker発動に足る破壊数になるようにティーショット、高得点の目標物を全て壊してSMASHDOWNボーナス5万点(2種全破壊で+10万点)を狙い、最後にホールが見える位置に落としてパットを決めるというのがほぼ固定されてしまう。下手なパズルゲームよりもガチガチなクリア条件を求められるので、破壊の爽快感もへったくれも無い。ましてやその辺の大量においてあるオブジェクトを破壊しても雀の涙なので、壊す意味がそもそもない。

例えばだが、あくまでカップに入れたときにはボーナス点が入るだけで、ショット打ち切りで壊すだけのAngry Birds方式ではダメだったのか、という疑問も湧いてくるくらいにゴルフという形に固執している。スタッフは開発中にこれは面白い!と思ったのだろうか。

操作性がそもそもの問題

赤い部分がハザード。予想外のはね方をしたら終了

またそのシステムに追い打ちをかけるように操作性の悪さが問題になってくる。「ショットの強さが決められない」のがまず第一の問題点。もはやこの時点でゴルフと呼べないのだが、ワンボタンでお手軽プレイと考えるとギリギリ範疇か。強さが調節できないので、手前に落とすとか曲げるとかそういうショットは一切打てない。後半になるとその状況で触れたら即ミスのハザードをマップ内に配置してくるので、避け切れなかったらその時点でスコア半減。基本ティーショット時に引っかかるので半減もクソもないのだが、池ポチャのように努力すればリカバリーできるとかそういう代物ですらない。

2個残った高得点目標。傾いたり横向いててもダメとは。

ティーショットの壁を乗り越えたら次はSmashbreakerタイム。これも絶望的なくらいに操作性が悪い。カメラの悪さはここに始まったことではないので触れないとして、一定の高さにバウンドし続けるため、細かい隙間などには狙って入れない。高く積み上げられたものに突っ込んでいって壊すのは確かに気持ちいいものはあるが、根元に当てないと全て倒れてくれない(中央最下段のグラスが壊れていないので得点にならない)など、細かいところで融通がきいてくれない。前述のようにボーナス点がほぼ必須条件になるので、積み上げられたものが必要条件なものだとそれをすべて破壊しない限りクリアは難しいということになる。ほぼ言うことを聞いてくれないものの、自分で左右と後ろへの操作をしなければならないというか、前に飛び跳ねるだけでクリアできるものではないので、この時間中ずっと「コイツ動けやぁ…」とイライラしながら操作するのは面白いものではない。本当に狙ったところに着弾するのは偶然待ちになる。

テーブルの下の段差などではよく引っかかり、上下にすら動いてくれなくなることも多々あるので、物理演算などをキッチリ計算してプレイすることすら難しい。水道のシンクに嵌ったら出られないし、そこからパットを打つなどもっての外なので、ワンボタンでやり直しできるくらいの配慮が欲しかった。やり直さずにリザルト画面を出してしまうと、1個ずつチャキーンと加算されて行って最後に〇〇メダル獲得ーと出るのが実際のプレイ時間より長かったりするので、飛ばせない演出と言うのは本当にイライラさせてくれる。

最悪な操作性にとどめを刺すのがパット。強さも調節できないパットで何が悪いかと言いたくなる人もいると思うが、具体的に並べると次のような感じ

  • ピンに弾かれて入らない
  • ピンに吸い寄せるありえない角度で跳ね返る
  • 破壊して地面に落ちた破片に跳ね返ってミス

まず一つ目はもはや論外のシステム。これがあるのでリプレイ性を削ぎ、高得点を狙おうという気を失わせるのである。何せこの画面の位置から外れるのも茶飯事なので、ゴルフを名乗ってはいけないレベルの失態と言っていいだろう。二つ目のシステムはメリットでもありでデメリットでもあるのだが、ただでさえ狙って打てないシステムなのに、軌道を想定して打てないのは致命的。全く見えない位置からのめくら打ち(原語がblind shotなので尊重)がなぜか吸い込まれてカップインし、ボーナス得点というケースも確かに稀にあって救われることもある。しかしパットを1回反射させるごとにボーナス点が増えるシステムを採用しながら、1回2回と反射させてこう決める、という計算が通用しなくなるのはどういうことなのか。というより物理演算による破壊を売りにしているのに物理法則を無視するなよと言いたい。3つ目はもう語る気にもならんやつ。

あと些細な大問題であるが、ボタンの設定にも難がある。黄色い掃除用具入れや台車などにセットされ、それを射出してボウリングのようにクラッシュを狙えるという見た目には面白そうなシステムもあるのだが、そこにセットするために押すキーがF。このFはティーショットやSmashbreaker中に強制的に止めてパットのモードに突入するためのキーなのである。なのでどういうことが起こるかというと、真上を通過しているときのみセットが可能なので、タイミング・位置がずれるとセットできずにその場に落ちてしまう。そういうステージではセットして何回も射出・Smashbreakerに入ることを前提としてノルマが課せられているので、ミスした時点でリスタートをせざるを得ない。そしてそのセットも多少アシストはされるものの、どう見ても入ってるだろという場所でも外すことがあるので、これまたどうしようもない。余談だがキーバインドは変更できないので別キーにすればいいじゃん!は通用しない。

見るところもあるが見るべきところを台無しにしたゲーム

もっとシンプルにガシャガシャとモノを壊していくゲームだったらよかった、というかPVを見る限りはそういうゲームに見えるので、コンセプトと見た目は高評価。実際にそういうプレイも出来なくはないので酷評だけで終わるゲームではない。のだが、プレイすると残念なところが多く目立つので決して高い評価は下せないというところ。メタスコアも54、ユーザスコアは3点台というところから見るに、おそらくプレイヤーの大半がこういう感情を抱いているのだろうというのは伺える。

私はこれをhumble bundleの1ドル枠で買ったのでそうそう痛くはないのだが、これを20ドルで売るのはさすがに無謀と言わざるを得ない。ほぼタダだと思っていてもプレイ中にイライラしていたのはさすがに厳しい。

まとめると

  • 破壊演出だけは一流(スクリーンショットやPVだけなら高評価)
  • 悪い意味で演出過剰
  • スコアアタックを阻害するランダム性
  • 物理法則を中途半端に踏襲する動き
  • 売りの破壊を楽しむまでの壁

個人的にはもっと酷評してもいいと思うほどだが、プレイ内容をあまり思い出したくないほどにキているので、わざわざ遊ぶほどではないという言葉で締めくくりたい。

-PCゲーム, レビュー

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