その前に今回遭遇した不具合について回避法を発見したので記しておく
ロード画面で固まる
インターバルのシナリオ名で言うところの「腰巾着」と「迂回路(Bypass)」の間の読み込み画面(ブリーフィングが書かれているロード画面)が発生する際に、読み込まなくなりフリーズする。恐らくこのブリーフィング画面部分で何か致命的なものがあるらしく、エリア内でのセーブデータ読み込みでも容赦なく発生するため、次のエリアに進むまでは設定等々を弄らないほうがよさそうである。
日本語音声のパッチを F.E.A.R. Combat から輸入して使っている人でもしこういう詰まり方をしたら、元の英語音声のファイルを導入(ファイルの整合性の確認でよい)することで対処できる。今回の不具合ではそこだけ英語でプレイし、次の幕間で日本語に戻したところ、不具合なく動作したのでここのインターバル限定なのかもしれない。ちなみに全体でクラッシュしたのはここだけだった。基本的にはWindows10でも英語版なら不具合はほぼないと言ってもいいと思う。
一通りクリアした後での感想
シナリオやグラフィックなどについてはここではあまり触れることは無い。ネタバレを多分に含むため、ホラー部分の興を削いでしまう。
戦闘部分は敵の攻撃の精度や頻度が高めで、まともに身を乗り出していくとかなり厳しい。そのためバレットタイム (Slow-mo) を使い、敵よりも先に身構え、リコイルコントロールをしながら頭を狙っていくというスタイルが多くなりがちではある。この能力が自動リチャージなので、後ろに引っ込んで溜めてまた使う、となると興ざめになることは間違いないのでほどほどにした方が面白さは増す。難易度 Hard でプレイしたが、この難易度で正面から馬鹿正直に突っ込んだり、ショットガンを持った敵に懐に入られたりするとライフがすぐに溶けていく。覗き込みを多用することにはなるが、かといって前に出ていかないと敵を発見することすら困難になるので、ある程度突っ込みつつ、肝心なところではキッチリ身を隠すという慎重なプレイは必須だった。
とにかく周りにあるものを利用させて戦闘を盛り立てようとしているため、屋内で箱状のものが大量においてあり、オフィスにしては雑然としているような印象がある。また影表現も売りなのだが明るい暗いがはっきりしすぎており、その四角い影空間が点在しているので、テクスチャなどは奇麗なのだが、全体としてはうーんという気持ちになる。ただし当時としては最高峰のグラフィックで、銃撃の際の演出も臨場感には一役買っている。戦闘中は気にならないどころか今でも十分通用するレベルだが、戦闘が終わって静かになると、誰もいないオフィスにポツーンと一人佇んでいるようで悲しくなる。早く戦闘が起こってほしいとさえ思える。
AIの行動は画一ではない
ここがこのゲーム最大のポイントであり、AI の売りでもある。「とにかくこの状況ではこれ」という形で決められていないので、プレイするたびに行動が変わってくる。一般的な頭の悪いAIでは、例えばこんな感じの行動が多い。
- 所定の位置につくまでプレイヤーがいても無視して突き進む
- 所定の場所からは一切動けない
- 音や視認でプレイヤーの位置を知ると、その場所までとにかく移動する
…という形で、とにかく目的を達しようとして、それ以外のことは一切考慮しないケースが多い。出来のいい AI はそのあたりを解消しようとするが、プレイヤー側が逆手に取ろうと思えば簡単に取れるものが多くなる。一本道の手前で大きな音を出すと、なんだなんだと大量の敵がどやどやと走ってくる、といったものが分かりやすい。
ではこのゲームの場合はどうか。
- 音に反応した場合、分隊長が命令を出す。「周辺の捜索」「確認しろ」
- 確認が取れるように前に出てくるが、カバーや壁際から覗くなど、危険を回避しながらの行動
- こちらを発見した場合、その敵だけでなく、残りの分隊員も行動を起こし始める
- 分隊内で役割分担をし、カバーしあいながら前進・攻撃・制圧射撃等を行う
- 人数が減ったり役割が欠けると、残りの分隊員で補完する
まず分隊行動をキッチリととってくるため、一人ずつおびき寄せてボコボコにする、というのができなくもないが毎回できるわけではない。とにかく敵がそのまま身をさらしたり、位置を変えないということがないので、ダイナミックな判断がプレイヤーにも要求される。左右に分かれている道があったら裏から回ろうとしたり、こちらが裏から回るのを見越して待ち構えていたりもする。なので「個」というより「集団」が相手をしているような感じだ。もちろん個がないがしろにされているわけではなく、ダメージを負ったら後ろに下がり、できるだけ身をさらさないように防御態勢を取り始めるため、こちらが前に出なければならない。敵が残り1体なら余裕なのだが、全員を倒し切っていない場合は、そこに数体残っているので、うまく引いたことで1vs3などの状況を作ってくる。
敵が生き残っているかどうかは、敵同士の通信を露骨にこちらに伝えてくれるのでそれで判別できる。「報告!」と言っていたら送り込んだ偵察の一人が死んだ場合だと思われる。「二人(3人)やられた!」というケースはまだ複数残っている。「増援を要請する!」などの援護を求める場合は残り一人だとされている(厳密には不明)。こういう分隊命令をはっきりとこちらに伝えてくれるのは、意図的にやっているらしい。AI が状況判断をして行動をリアルタイムで判断しているという仕組みが、この報告でプレイヤー側が理解できるのはなかなか良くできている。敵が分断されて制圧射撃を受けている際に「どこへ行けば!」などと発言した場合には、カバーする目的地が見つからないので回避行動を取っているということになる。そこから射撃をやめてこちらが後退すれば分隊でまた行動を取り始め、カバーしあいながら前進してくるという行動を取れるようになるわけだ。
逆に制圧射撃などはあまりしてこないというより射線がある場所が少ないので、WWIIゲームやスクリプトで大量に湧くゲームのように、敵の壁がある、というような印象もない。逆に狭い通路と部屋が連なったところで戦うことが多いため、複数の兵士が挟み撃ちを狙ってきたり、上下から同時に狙ってきたりと連携が取れているシーンが多い。そのため手強いタフな戦闘が多くなる。
AIがダイナミックに行動を切り替えてくるため、MOD フレンドリーにして、シングルマップの作成配布をしやすい環境にすれば、もっと世間に知らしめることができたんじゃないかと思うが、そういう部分は COOP Warfare で実現された。日本からだとマップが少なすぎたりサーバが無かったりして、AI の良さを活かすような設定でも環境でもなかったのだが。何故未だにこの AI がよそに輸出されたりしないのかいささか疑問はあるが、「少ない敵とシビアな戦闘をする」ゲームの需要がおそらく無いのだろう。一兵卒が戦争の結果を左右するスーパーソルジャーになってるほうがゲームとしては面白いもんな。知らんけど。