タイトル: Pixel Heroes: Byte & Magic
開発元: The Bitfather
パブリッシャー: Headup
リリース日: 2015年2月7日
ローグライク・ハック&スラッシュ・RPG
ジャンルとしてひとまとめにするのは難しいかもしれないが、言ってしまえば古き良きRPGにトレハン要素を足したものと考えて構わない。キャラメイクはできないがゲーム開始時に3クラスを選び、そのクラスで8ダンジョンクリアを目指すことになる。
まずこのクラス選びが攻略のキモになる。もちろんどのパーティでもクリア自体はおそらく可能で、バランスが悪くても何とかできるようにはなっているのだろうが、順当に「前衛・回復役・範囲(遠距離)攻撃」が得意なクラスを選ぶのが良いだろう。装備制限などはないので、不得意でも無理やり能力を上げて扱わせることなどもできるが、効率は悪いので得意クラスに任せるべきなのは言うまでもない。
街ではダンジョンに行くクエストを2種類から選択して受諾する。ダンジョンごとに特性が異なるため、その時持っている装備や店の品ぞろえなどで、どうしても対策ができない難易度になることもある。敵の強さ自体はクエストを受けるタイミングによって固定なため、今持っている装備に合わせて先にこなせるなら序盤でクリア済みにしてしまうなどの戦略も重要。個人的には火山はさっさとクリアしておきたいし、ゴブリンの村などは後回しにするのがベターであると感じられたが、そのあたりは個人の戦い方の特徴によりけり。
バフデバフ・状態異常がとにかく重要
このゲームにおける最重要項目は補助魔法・ステータス異常をかけられる攻撃に集約される。各ダンジョンにおいて、そのダンジョン特有のデバフや属性がほぼ決まっているので、いかにその対策を練ってあるダンジョンを引けるかどうかも攻略のポイントになる。
このように非常にわかりやすく1ページにまとめてくれている解説があるため、属性なども適宜チェックして間違いのない選択を毎ターンすることで、勝利を手繰り寄せるのがぐっと楽になる。ダメージを与える状態異常がとにかく厳しく、致命傷になりやすい。
- 毒=なったターンにはダメージはないがターンごとにダメージが増える
- やけど=なったターンから固定ダメージを受ける
- 出血=現在のHPの割合に応じたダメージを受け続ける
- 寄生虫=既定のターン後に大ダメージ
ダメージなら回復でなんとかなりそうな気もするところだが、味方のターン・敵のターンでそれぞれダメージを受けてしまうので数字以上に積み重なっていくことになる。1種類ならまだしも出血・毒などは同時にかかったりすることもあるので、ターンダメージが50を超えたりすることも。敵の攻撃が1ダメージだとしてもこれを食らってしまうと長期間ダメージに苦しむので、耐性が得られるなら耐性をキッチリと確保しておくことが重要になる。攻撃ごとに状態異常率が設定されているものの、「かかる・かからない」の2択として捉えるくらいでちょうどいい。
また効果のわかりやすい防御力の増加・減少の効果も半端ではなく、防御力が上がった場合は得意属性でもほぼ通らない。逆に下がった場合はほぼ素通しになるレベルでダメージが通る。例えば魔法攻撃を主体とする場合であれば、魔法防御を下げる効果を持った攻撃を用意しておかないと厳しい。敵によっては素の状態でダメージが入らないレベルで硬い場合などもあるため、下げられる可能性があるだけで、普通に押し負ける可能性はかなり減る。祝福や興奮状態などもダメージを高めることができるし、敵を病気にすればこちらが受けるダメージが減るので、シンプルに数値の増減を感じられる。恩恵がわかりやすいというのはこのゲーム最大の長所かもしれない。
その代わりに戦闘は大味
というのも、「属性効果が大きすぎる」「防御力の増減量がヤケクソ」「呪い・混乱の効果がおかしい」あたりに集約される。範囲攻撃がしやすく、状態異常をばら撒きやすい魔法が主力となり、開幕ぶっぱでかき回すのがメインの戦い方。近接攻撃は射程が1~2であることが多く、魔法攻撃があまり効かない敵や、場所によって属性をとっかえひっかえというスタイルがやりやすいこともあり、基本は壁か補助役というスタイル。
この手の魔法で重要なのは、ダメージが低かったり属性が合わなくても、状態異常を撒くことができれば使い道があるということ。メタルスパイクな魔法は全体を出血させることができるため、開幕で撒くと効率的にダメージを与えることができる。敵全体を呪う魔法攻撃なども同様で、成功すれば効果時間中50%の確率で行動が失敗するというヤケクソな効果を発揮する。敵の状態異常の確率もダメージもシャットアウトできる確率が上がるので、ダメージ数値に拘らずそこをメインとして使うこともできるのは、近接武器にはあまり見られない傾向である。
逆に言えば敵が使ってくるものが驚異的でもあるということ。呪われてしまったら解呪しないと50%で攻撃・回復が失敗するため、デバフ回復要因としての僧侶キャラには、呪い・混乱を防ぐための耐性装備を優先的に回したい。逆に前衛は毒・出血・火傷の耐性を持っておくと高い耐久力を活かしやすい。魔法使いには絶対に混乱耐性。これだけはガチ。先ほど言った状態異常をパーティにばらまいてしまう恐れがあり、ダメージ以上に半壊まで行ってしまう恐れがある。
上のゲイシャボスがドロップするハープが上の方に画像がある「Moon harp」を確定ドロップする。これがとにかく開始時にぶちまける能力に長けている。何せ「無属性でダメージもそれなりに高い魔法攻撃を全体に当てる」だけでも十分強いのに、「それぞれ50%の確率で防御力ダウン・魔法防御ダウン・呪い・祝福をかける」というヤケクソなもの。魔法キャラがいるなら序盤にクリアしておいて、ターンが回ってきたら毎回これをやるだけでも十分価値がある。効かない敵には耐性があると表記されるものの、ほかの物は効くということが分かり、魔法防御がどれだけ高いのかというチェックもできる。とにかく得するシチュエーションを作ることができるので、撃たない理由がない。と、ここまで来て「これを混乱で味方にぶちまけられるとヤベーな」というのをご理解いただけると思う。
回復も能力を高めておけばデバフ解除の魔法と全体回復魔法の2パターンで済んでしまうくらいにはぬるい。このデバフ解除がとにかく重要になるので、これを外してのプレイはあり得ないと言っても良い。回復量が例え1であっても、戦士などは普段やることがないので、持たせておくことも考慮していいかもしれない。
大味で単調だがなかなか濃厚、やりごたえは十分
各種クエストは道中で往復の際にランダムイベントが3つ、中にはこういうカメオ出演もあるが、選択肢で戦闘になるものがほとんど。特別なアイテムが手に入るケースもあるので、美味しいパターンを把握しておくと冒険は楽になる。逆に逃げた方がいいスルーしたほうがいいというものも混じっているので、大抵は通過点。
ダンジョンでも同じような敵が出る戦闘と、能力に応じて開けやすさが変わる宝箱のイベントしかない。この宝箱は求められる能力が高いものをキッチリ開けたときには、普通よりも大量に良いアイテムが貰えて、経験値なども高いので、ぜひ通常の開け方をしたい。どうしても無理なら全員でボコる選択肢でゴミでもいいから手に入れて、経験値も少しでも稼ぐことをお勧めする。武器の能力計算に各種ステータスの数値を用いるので、レベル上げと良いアクセサリーを入手するのは重要。だがダンジョンはダレポイントでもあるので、このあたりで油断が発生するのは否めない。
このダンジョンを8つ(+道中イベント6つ)というのは少々長いかもしれない、というのは何度かクリアしたときに感じた。特に道中イベントのバリエーションも乏しいので、戦闘が発生するものは序盤のいい稼ぎ場ではあるものの、ダンジョンから帰るときには回避したくなるものである。そうやって回避を考え始めると本当に道中が邪魔になってくる。音楽も道中は毎回同じで、ダンジョンも戦闘7回は同じ、ボス戦ではその曲のアレンジというスタイルなため、しばらくの間耳にタコである。決してクオリティが低いわけではないというのが救いではあるが。
パーティメンバーが偏っていてもクリアはできるので、バランス調整としてはかなり練り込まれていると言えなくもない。状態異常や範囲攻撃が得意で、回復に必要なFAITHを上げやすかったりもする魔法系はむしろ簡単かもしれないが、ゲームシステムを理解し、コツをつかんだプレイをすれば如何様にもなるというのは優れたゲームの証明だと思っている。
初期のパーティ構成がランダムからの選択、手に入るアイテムや性能がランダムであることを考慮しても、概ね出やすいタイプのアイテムや、道中の戦闘で手に入る固定武器などもあるため、思ったほどランダムなプレイスタイルにはならない。しかしランダム性もあり、知識量によってゲームプレイに大きな影響が出るという意味ではローグライクの王道であるとも言える。
1プレイ自体は結構長いものの、中断が自由なので、ちょいちょい進めては放置という感じでもゆるゆると進めていくこともできるし、ガッツリ攻略を目指しても良い匙加減がこのゲームの魅力であると感じられた。